相続税ってみんなが払うわけじゃないんでしょ?
だとしたらいくらから支払うのか、その基準が知りたいな
亡くなった方(被相続人)の遺産を引き継いだすべての人が相続税を支払うわけではなく、一定以上の遺産があった場合に相続税がかかります。
それでは、相続税がかかるのはいくらからなのか、知りたいと思うことでしょう。
そこで、相続税がかかるのはどのような場合なのか、その金額の基準について解説していきます。
どれくらいの人が相続税を納めているのか
亡くなった人がいると、被相続人が保有していた財産はすべて、配偶者や子どもなどの相続人が引き継ぐこととなります。
この時、遺産を引き継いだ人に対しては、原則として相続税が課され、相続人は相続税の申告書を税務署に提出し、相続税を納付することとなります。
ただ、実際に相続税の申告・納税をしている人は、それほど多くありません。
国税庁が公表している「令和4年分相続税の申告事績の概要」によれば、令和4年11月1日〜令和5年10月31日に提出された相続税申告書に記載された被相続人の人数は150,858人です。
これは、厚生労働省が公表している「人口動態統計」の令和4年の死亡者数1,569,050人の9.6%に相当します。
さらに、相続税額が発生した人の数は112,578人となっており、こちらは死亡者数に対して7.1%となっています。
こうしてみると、相続税の申告・納税が発生するのが原則とはいっても、実際には大多数の人が申告も納税も行っていないことが分かります。
相続税がかからないのはどうしてか
9割以上の人には相続税がかからないのであれば、財産を持っている人が亡くなっても相続税がかからないケースが数多くあるということになります。
どうして相続税がかからないのか、その理由はいくつかあり、多くの人がこのいずれかに該当することになります。
遺産の総額が基礎控除以下であった
相続税の計算においては、すべての遺産が相続税の計算の基礎とならないように、一定の控除額が設けられています。
この控除額のことを、基礎控除といいます。
相続税の基礎控除の金額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と定められています。
遺産の金額が大きいケースでは、遺産の総額から基礎控除の金額を差し引いた残額に対して相続税の計算が行われます。
また遺産の総額が基礎控除の金額以下となった場合は、相続税の対象となる金額はないものとされます。
そのため、遺産はあっても相続税が発生しない結果となるのです。
遺産が課税対象でなかった
基本的にすべての財産が相続税の課税対象となりますが、例外もあります。
法律で相続税がかからないとされている財産があり、これらについては相続税の対象にはなりません。
多くの人に関係する遺産として、死亡保険金があります。
亡くなったことによって保険金が下りた場合、保険金のうち「500万円×法定相続人の数」で計算される金額は非課税となります。
死亡保険金の一部を遺産の総額に含めなくてもよくなるので、遺産の総額が基礎控除の金額以下になる可能性も高くなります。
このほかにも死亡退職金や墓地・墓石、仏壇などが非課税になります。
中にはほとんどの人に関係ないものもありますが、非課税になるものがあると知っていると、相続税対策を行うことができます。
申告により特例や税額控除が適用された
相続税の申告を行うと、特例や税額控除が適用されることがあります。
これは、相続税の負担が必要以上に大きくならないよう、一定の条件に該当する人の相続税の負担を軽減するものです。
おもな特例や税額控除は、以下のとおりです。
- 小規模宅地等の特例
- 配偶者の税額軽減(配偶者控除)
- 未成年者控除
- 障害者控除
- 相次相続控除
適用を受けるためには、それぞれ定められた条件を満たす必要があります。
大きな税負担の軽減になることが見込まれ、中には相続税がゼロになることもあります。
相続税の申告をしなくてもいい最大の理由は基礎控除
相続税がかからない理由についていくつかご紹介しました。
この中で、最も多くのケースで相続税が発生しない理由となっているのが、基礎控除の存在です。
相続税の基礎控除とは、はたしてどのようなものなのでしょうか。
基礎控除とは
相続が発生して、相続人が相続したすべての遺産に対して相続税がかかることとした場合、どれだけ少額の遺産であっても相続税が発生してしまいます。
しかし、このことは相続人にとっても、そして税務署にとっても喜ばしいことではありません。
必ず相続税が発生するのであれば、相続人は相続税を納付するための現金を必ず用意しておかなければなりません。
しかし、相続人が相続した遺産は相続後の生活を支えるために必要なものであり、相続税を納付するために相続したものではありません。
そのため、納税資金を確保するのに苦労するケースが数多く発生するでしょう。
一方の税務署では、いくら少額の遺産であってもすべて相続税が発生するとした場合、かなり事務手続きが増えてしまいます。
その反面、納税額が多くない事例も増えるため、効率的で無駄のない運営が難しくなります。
そこで、遺産が一定額を下回る相続については相続税が発生しないこととして、相続人の不安解消と事務手続きの効率化を図っています。
一定額の基準となるのが基礎控除であり、遺産の金額が基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。
基礎控除の計算方法
相続税の基礎控除の金額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。
例えば相続人が配偶者と子ども2人の場合、法定相続人は全部で3人となるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除の額となります。
基礎控除の金額と遺産総額との関係
基礎控除の金額が遺産の総額より大きい場合、相続税の申告も納税も必要ありません。
遺産の総額が基礎控除を上回る場合にはじめて、相続税の特例や税額控除が適用できないか検討する必要があります。
なお、遺産総額が基礎控除より大きくなっても、特例や税額控除を適用することで相続税が発生しないことはあります。
ただし、特例や税額控除の適用を受けるために相続税の申告が必要になるので、忘れないようにしなければなりません。
少なくとも3,600万円の基礎控除はある
相続税の基礎控除の計算式から、最低でも3,600万円の基礎控除額があることが分かります。
そのため、遺産の額が3,600万円以下であれば、誰が亡くなった場合でも相続税が発生しないといえます。
ただ、法定相続人の数がはっきりすれば、遺産がそれ以上の金額になったとしても、相続税は発生しません。
なお、相続税の対象となる遺産には、あらゆるものが含まれることに注意が必要です。
預金や有価証券だけでなく、自宅の土地や建物、車、近年ではオンライン上の暗号資産なども遺産に含まれます。
これらの遺産の評価額を正しく計算し、その合計額を求めないと、相続税が発生するかどうか正しく判断できなくなってしまいます。
基礎控除の金額の計算より遺産の計算の方が大変なので、専門家に相談しながら進めるようにしましょう。
まとめ
親や亡くなった場合、あるいは自分自身が死亡した場合に、相続税が発生するのか気になる方も多いでしょう。
相続税が発生するかどうかの判断は、遺産の総額が基礎控除以下になるかどうかによるため、まずは基礎控除の計算方法をマスターしておきましょう。
基礎控除額が遺産の総額以上となった場合、相続税の申告も納税も必要ないので、安心して相続の手続きを進めることができます。


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